GoogleやVisaが推し進めようとしているNFC〔近距離無線通信〕ベースのモバイル支払いシステムの最大の欠点は店舗側がシステムに新規投資しなければならないことだ。街角の小さな店にはおいそれとNFC設備を整える余裕がないところが多い。
あらゆるクレジットカードとポイントカードにその場で変身する魔法のiPhoneケース、Geodeが発売間近―NFCなんか古い!となるか?
それが iCache Geodeの開発が始められた理由だ。簡単にいえば、GeodeはスマートなiPhoneケースで、ユーザーが持っているあらゆるクレジット・カードとポイント・カードの情報を一つにまとめて、普段どおりに店で使えるようにする。付属のアプリでアカウントを登録し、ポイントカードのバーコードを読み取らせると、Geodeの背面の小さなeインクのディスプレイに指定したポイントカード情報がバーコードで表示される。しかもGeodeはユーザーが持っている多数のポイントカードのバーコードを何枚でも記憶し、必要に応じて呼び出して表示させることができる。
これだけでも非常に便利だが、Geodeの機能はそれにとどまらない。
デバイス裏側のトップにはGeocardと呼ばれる書き換え可能な磁気カードが挿入されている。ユーザーはGeode付属のカードリーダーで事前にクレジットカード情報を読みこませておく。店で使用するクレジットカードを呼び出してタップするとGeocardの裏面の磁気ストライプがその場で書き換えられる。ユーザーはGeodeケースからGeocardを取り出してキャッシャーに渡せばよい。通常のクレジットカードと同様にカードリーダーに通すことができる。
ケースにはスキャナーが付属しており、指紋を読み取って登録しておけば第三者の不正利用を防止できる。iCacheのファウンダー、CEOのJon Ramaciは私の取材に対して「この指紋登録システムはLiveFinger Detectionプログラムを利用しているので持ち主の指を切り取って使うといった映画に出てくるような不正は通用しない」と語った。
私は何度か財布をなくしたことがあるが、あちこちに電話して紛失を届出たり、カードを停止したり、新しいカードが届くのをイライラとを待ったりするする経験はまったくうんざりだ。iCacheはこの点も画期的に改善してくれる。カードの利用履歴は暗号化されてクラウドに保管される。万一Geodeが紛失、盗難にあっても代替機を注文するのはほとんどワンクリックですむ。
Ramaciは元Oracleの幹部だが、iCacheの資金調達は順調だという。ベンチャーキャピタルからの出資は受けず、ポケットマネー、親族、資産家の友だちからの出資だけでまかなっている。しかし手持ち資金は多いに越したことはない。そこでiCacheは最近Kickstarterプロジェクトをスタートさせた。まだ今のところ37人から6000ドルが集まっただけだが、Ramaciがこのクラウド資金調達プラットフォームに求めているのはキャッシュだけではない。将来の顧客からのフィードバックの収集も大きな目的だ。
私はGeodeのアイディアが大いに気に入っているが、もちろんデメリットに対する懸念がないわけではない。Geodeが盗まれたら(指紋ロックで不正利用は防げるだろうが)、単に財布をなくすだけではすまい。中のiPhoneごとなくなってしまうわけだ。何でも一箇所にまとめるのは便利だが、反面、一度に何もかもなくしてしまうリスクが高まる。もう一つ小さな心配は、なるほどGeodeは店側の設備に追加投資を必要としないものの、Geocardを渡された店員がけげんな顔になり上司を呼んでくるといった事態が起きそうなことだ。
いずれにせよ、計画どおりにことが進めばKickstarterのGeodeの出資者は今年の夏までに実機を入手できるはずだ。Ramaciによれば5月か6月の出荷を目指しているという。市販価格は199ドルだが、KickStarterプログラで159ドルを出資すれば1台入手できる。私も出資するつもりだ。
(翻訳:滑川海彦 Facebook Google+)
(この記事はテクノロジー総合(TechCrunch Japan)から引用させて頂きました)
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