編集部注:Matt Moogは、Viewpoints.comのファウンダー・CEO。彼のTwitterアカウントは@MattMoog。
Google Pandaから1年。わが社のビジネスはこう変わった
Google Panda襲来
2011年2月24日は、われわれVewpointsにとって不名誉な記憶として残る日となった。それはGoogle Pandaアップデートが施行された日だ。その日までわれわれは4年間にわたってViewpoints.comのトラフィックが順調に伸び続けるのを見てきた。トラフィックは毎年倍増し、ユニークユーザー数は270万人に達したところだった。われわれはGoogleがアルゴリズムを変更して、コンテンツファーム(*)にペナルティーを与えるという噂を聞きつけ、これでわれわれのトラフィックが増えるかもしれないと興奮していた。結果は、われわれを少なからず驚かせるものだった。
[* 訳注:内容のないコンテンツで検索結果による広告収入を稼ぐサイト]
Viewpoints、痛撃を食らう
ご存じのようにViewpointsは消費者によるレビューと商品ランキングのためのウェブサイトだ。われわれには、25万人以上のメンバーから寄せられた10万種類の商品に関する60万件のレビューがある。2007年終りにスタートして以来、7000万回以上の訪問があった。コンテンツはすべてオリジナルで、われわれは常に自分たちのやり方を「正しい方法」だと認識していた。どうやらGoogleの感じ方は違っていたようで、われわれのオーガニック検索によるトラフィックは、Pandaアップデートの結果一夜にして50%減少した。
そしていくつか緊急対応を試みる
何日かが過ぎ、われわれはMatt Cutts[Googleのスパム対策エキスパート]や評論家たちのあらゆるコメントを選り分け、Googleブログをウォッチした。まるでバチカンからの渦まく煙を待つ忠実な信者のように、われわれは再びGoogleクローラーの恩寵に与れる日を気がかりに待ち続けた。広告の頻度? それとも短かいレビュー記事があったためにGoogleが「浅薄なコンテンツ」として罰したのか?
真実はそのいずれかあるいは全部かもしれない。われわれのサイトには何十万もの優れたレビューがあるが、公開に値しないものを見過ごしていたのかもしれない。またわれわれは、スピード、広告頻度その他、優れたユーザー体験の指標に十分な注意を払っていなかった。そこで、Google問題を解決すると同時に、われわれはもっと広く長期的に考え、この機会を用いてより優れたユーザー体験を作り出すことを決意した ― Googleが何を求めているかに関わらず。
結果の評価は読者に見ていただける。われわれはこの12ヵ月間を費やし、25人以上のプロフェッショナルからなるチームによってViewpointsを再発明した。3月から6月にかけて、サイト全体から広告の40%を削除した。サイトのスピードは3倍に改善された。最低品質に達していない8万件以上のレビューをふるい落とした。残念ながらこれらの変更はトラフィックにごくわずかしか影響を与えなかった。そこでわれわれは、もっと抜本的なアプローチを取る時であると判断した。
本格的長期的な変更の時
上記の変更を加え、GoogleのPandaアップデートから90日たった後、われわれは6ヵ月をかけてViewpoints.comのユーザー体験を全面改訂することを決定した。これは視覚的デザイン変更だけでなく、一から十まで徹底した見直しだった。結局われわれはユーザー体験に30箇所の大きな変更を加えた。この取り組み全体が、会社にとって賭けともいえる決断だった。スタートから4年が過ぎ、現実に世界は変わっていた。最も根本的な仮定に対してさえも疑問を持つべき時が来ていた。
コンテンツ品質 ― 「浅薄な」コンテンツの認識
新しい品質基準に達しなかった8万件のレビューを削除したことに加え、われわれは単独のレビューページは最も長いものだけを残して取り除くことに決めた。この一つの決断だけでサイトから60万ページが除去された。さらに、非常に短いレビューの取扱い方法を変更することにした。新たにレビューが公開アクセス可能になるための最低閾値を決めた。ある製品を見て「It’s awesome![これはスゴイ]」というレビューを書くことは構わないが、2語からなるこのレビューが公開に値するほど他の消費者の役に立つとはわれわれは考えない、というだけだ。合計9万件以上のレビューがあった300を越えるレビューカテゴリーを閉鎖するという苦渋の決断も下した。われわれは戦略的に製品レビューに特化することを決め、ホテル、レストラン、映画など数百もの非製品レビューカテゴリーを抹消した。これらコンテンツ品質を高めるための決断によって、全レビューの20%が削除され、短かいレビューがなくなり、非常に包括的な製品ページが出来あがった。
Googleが気付くかどうかはわからないが、われわれに出来る限りの「浅薄」コンテンツ対応ができたと感じている。
サイト信用度
「浅薄なコンテンツ」の廃絶に加え、われわれはサイト全体の信用度に注目した。Googleはサイトオーナーに対して、ユーザーの立場になってこう自問する必要があると提言している、「健康問題やクレジットカードに関してこのサイトを信用するだろうか?」。
Viewpointにとってこれは、第一ステップとして上記の指針に従ってコンテンツを整理することを意味しているが、よりクリーンかつシンプルで、サイトの信頼性、品質、総合的有用性を伝達するデザイン変更を実施する時期でもあった。サイト内の広告の40%を除去したほか、消費者レビューと商品ランキングというサイトの中心的価値を低下させていた15以上の機能も取り除いた。例えば、レビューの数が十分でない製品のレビューにはスコアーを与えないことに決めた。メンバーがアカウントをFacebookに接続している場合はそれを明確にして、レビューの信ぴょう性を示した。下のスクリーンショットでいくつかの画面の新旧デザインを比較している。
旧・検索結果
新・検索結果
旧・製品ページ
新・製品ページ
製品インテリジェンス
こうしてわれわれは、コンテンツ品質、サイトの構造、およびサイトの信用度に取り組んできた。しかしこれだけで、混み合ったこの市場で差別化するに十分な価値が加えられたのだろうか。いい質問だ! 基本(品質、信用度、使いやすさ等)に関してやるべきことをやることが、すばらしい消費者レビューのユーザー体験への鍵だとわれわれは堅く信じているが、Viewpointのユーザー体験を差別化する重要な方法が別にあることが明らかになった。われわれは明確な購入推奨をする専門家のレビューと、消費者のフィードバックとしてはすばらしいが、必ずしも明確で詳細な購入推奨にはならない大量の消費者レビューとの間に、埋めるべき隙間があることを発見した。
われわれはこれを「消費者による消費者のための ― 製品インテリジェンス」と呼んでいる。多大な時間とリソースを費し、買い物客がどの製品を買うべきかわかるように製品を賢くランク付けするスコア付けとランク付けのアルゴリズムを開発した。
多様性
ユーザー体験を改善し、その結果Googleのランキングも改善しただけでなく、われわれはモバイルとソーシャルを、メンバー獲得のためにトラフィックを増やす新しいチャンネルとして最適化することを、明確な目標とした。これらの領域で行った変更は非常に大きいものだった。具体的な変更内容は別の記事で詳しく紹介する予定だ。
結論
以上が、GoogleのPandaアップデートがわれわれのビジネスを変えたあらましである。この結果、コンテンツの質は向上し、ユーザー体験の信用度、信頼性は高まり、市場における明確な差別化のために製品インテリジェンスに投資する契機となった。
これらの変更に対してGoogleがどう反応するのかはわからないが、重要なのは、われわれが施した変更の一つひとつがユーザーにとっての体験を改善したことだ。だから、Pandaの出現によって落胆させられたのと同時に、われわれは自分たちのビジネスについて、またエンドユーザーへの価値を高めることについて深く考えざるを得なくなり、そして恐らく最も重要なのは、われわれのビジネスを一段上のレベルに引き上げざるを得なくなったことだろう。さあ始まりだ。
(翻訳:Nob Takahashi)
(この記事はテクノロジー総合(TechCrunch Japan)から引用させて頂きました)
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